n年後に駐在するゲイ

いつか海外に飛ばされるゲイが生きた証

耳に備え付けられたガリバートンネル

ここ2日くらい調子がどうもおかしい。

 

身の回りの音が、実態以上に大きくなって耳に飛び込んでくる。

 

僕の聴覚器官に対して絶え間なく奇襲を仕掛けられているような感覚。

 

部屋を暖めるエアコン、そばの道路を駆けていく車、中身のない話で盛り上がるふりをするテレビの中の芸能人。

 

全部、全部。

 

この症状は初めてではない。トリガーは不明。

 

 

 

心の休まる暇もなければ、考えに耽ることもできない。

 

頭の中には音にぶつ切りにされた思考がそこかしこに転がって、足の踏み場もない。

 

疲れているときには必ず『かもめ食堂』を観るようにしているけれど、今日はその魔法も効きそうにない。

 

あまりにも、ない。おかげで文末に「ない」を3回も使ってしまった。

 

そもそも今、僕は疲れているんだろうか。

 

 

 

耳にガリバートンネルを設置したい。

 

片方の穴から入ると、体が何倍も小さくなった状態でもう片方の穴から出てくる、22世紀から来たネコ型ロボットのひみつ道具

 

そうして僕の耳に侵入してくる音に小さくなってもらって、心の安寧を保つんだ。

 

もしくは僕の耳にはすでにガリバートンネルが逆方向に備え付けられていて、だからすべての音が大きく聞こえるのではという気がしてきた。

 

そう考えると少し面白い。この様子を「ガリバートンネル状態」とでも名付けよう。

 

机の引き出しを開けてみても、タイムマシンは見当たらない。

 

助けてよ、ドラえもん