n年後に駐在するゲイ

いつか海外に飛ばされるゲイが生きた証

7月のナイトメア

怖い夢を見た。

 

家族が不気味な宗教に取り込まれてしまう。
その宗教からやってきた人が僕の家を取り囲む。
空は真っ暗だった。やけに星がキラキラ輝いていて、不気味なシチュエーションとのコントラストが余計に怖かった。
ここは夢によくあるおかしなポイントだけど、僕はなぜかドイツの政党「緑の党」に助けを求めようとして、一心不乱にスマホを探していた。

 

夢の中で僕は、ずっと息が苦しかった。
これは比喩でもなんでもなくて、本当に肺が圧迫されていて酸素を十分に取り込むことができなかった。

 

悪夢あるある。見ている途中で「これは夢だ」と気づく。
現実の世界に戻ろうとするにつれて、呼吸がだんだん乱れる。息が苦しくなる。あまりの怖さに涙が出てくる。体はなぜか動かない。

 

夢の中は本当に怖くて不気味な場所だった。慣れ親しんだ僕の実家が、得体の知れない人たちに囲まれている。家族はもう、僕の手の届かない遠い場所へ行ってしまった。恐ろしくて、悲しくて、孤独だった。

 

スマホは見つかったものの、緑の党にはついに電話がつながらなかった。

 

そんなところで目が覚めた。呼吸が荒い。「肩で息をする」というのはこういう時に使う表現なのかもしれない。目元に手をやると、指先が湿った。

 

「もう大丈夫、もう大丈夫」そう自分に言い聞かせて、自分で自分を抱きしめるようにして両肩に手を回す。震えは一向に収まらなかった。

 

気晴らしにリビングでテレビを観た。しばらくして両親が起きてきた。よかった、どこにも行っていない。そう思うと涙があふれそうになったけど、余計な心配をかけるわけにはいかないので、何とかこらえる。何気ないふりをして「目が覚めちゃった」と言った。

 

僕のその声が若干震えていることに、両親が気づかなければいいなと思う。