睡眠を自分でコントロールできない。
より正確に言えば、入眠のタイミングを調整することができない。
「明日は朝早いフライトに乗るから、今日はいつもより2時間くらい早めに寝よう」
これがよくわからない。寝るタイミングって、そんな簡単に自分で決められるものなの?
人生において不得意なことは何ですかと聞かれたら、僕は自信をもって「睡眠」と答える。
翌日朝が早い場合は、努めて早めに布団に入ることはする。
でも、いつもより早く睡魔が襲ってきた試しがない。
いつもと同じ時間に寝るか、いつもより夜更かしをしてしまうかのどちらか。
「早く寝なきゃ」がプレッシャーとなって、いつもと同じ時間に寝付くことすら難しくなってしまう。
メンタルの弱さが体にも出てしまっている。
そういうわけで僕は、睡眠を「自分の意のままに操ることのできない範疇にあるもの」と認識している。
昔の人はそのようなものを、ポジティブな文脈では「恵み」と、ネガティブな文脈では「災い」と呼んでいたような気がする。
僕にとって睡眠は当たり前の存在ではない。
それはまさに「施し」なのだ。
気まぐれにやってきて、僕に休息の時間を与えてくれる。
みじめでちっぽけな人間の僕は、祈るような気持ちで枕に頭を横たえ、感謝で胸をいっぱいにしながら布団から出るだけである。
今日は何時にやってくるんだろう。さっきから僕は、空を見上げて手を合わせ、その合間にこの文章を書いている。